診療所(医療法人)の事業承継の仲介会社を選ぶポイント~成功への第一歩を踏み出すために~
仲介会社を選ぶポイント
診療所(医療法人)の事業承継は、専門的な知識と複雑な手続きが必要になるため、オーナー様ご自身が行うことがとても困難であり、大抵の場合、専門家にサポートを依頼することが一般的です。適切な仲介会社を選ぶことで、スムーズで安全な事業承継が可能となります。本記事では、医療法人の譲渡者・譲受者の双方にとって最適な仲介会社を選ぶポイントについて詳しく解説します。
1.事業承継とは?
事業承継とは、現在の診療所の経営者が後継者へ事業を引き継ぎ、診療の継続と経営の安定を図るプロセスのことを指します。事業承継の方法には、大きく分けて 「親族内承継」「従業員承継」「第三者承継」 の3つがあり、それぞれの特徴や注意点が異なります。
① 親族内承継
(例:院長の子供や親族が診療所を引き継ぐケース)
親族内承継は、現在の院長の子供や親族が後継者となるケースで、これまでの診療方針や経営理念を引き継ぎやすいのが特徴です。また、親族内の引き継ぎであるため、従業員や患者からの信頼を得やすく、スムーズに移行できるメリットがあります。しかし、以下のような課題も存在します。
・後継者の意思確認と準備 親族が医師資格を持っていても、必ずしも診療所を継ぐ意思があるとは限りません。継承する場合も、経営スキルや医療の実務経験を積ませる必要があります。
・相続税・贈与税の負担 事業承継の際に発生する相続税や贈与税の負担が大きくなる可能性があります。事前に税務対策を講じることが重要です。
②従業員承継
(例:現在の副院長や長年勤務している医師・事務長が承継するケース)
診療所で長年勤務している医師や事務長などの従業員が後継者となる形態です。この方法では、現在のスタッフや患者との関係性が維持されやすく、診療所の理念や方針もスムーズに継承できます。
メリット
・経営の継続性が確保しやすい 診療所の業務を熟知しているため、経営の方針を大きく変更することなくスムーズに引き継げます。
・従業員や患者の安心感が高い 既存従事医師が院長となることで、従業員の離職リスクが低く、患者からの信頼も維持しやすくなります。
デメリット
・資金調達の問題 既存の医師や従業員が診療所を引き継ぐ際には、買収資金を用意する必要があります。金融機関からの融資を活用することもできますが、借入が難しい場合は売却が成立しない可能性があります。
・経営スキルの習得が必要 診療業務には精通していても、経営全般の知識や資金管理のノウハウを学ぶ必要があります。事前に経営研修を受けさせるなどの準備が求められます。
③第三者承継
(例:他の医療法人や個人開業医に医療法人の出資持分を譲渡するケース)
近年、最も多く利用されている事業承継の方法が 第三者承継です。これは、親族や従業員に後継者がいない場合に、外部の医療法人や個人医師に出資持分を譲渡する形態です。
メリット
・適切な譲受先を見つけることで、思いもよらぬ金額で譲渡が可能 譲渡価格の設定次第では、診療所(医療法人)の資産価値を活かした適正価格での譲渡が期待できます。
・後継者がいなくても診療所を存続できる 医療法人や個人医師への出資持分譲渡により、後継者不足による廃業を防ぐことができます。
・譲渡益を老後資金や新たな事業資金に活用できる 医療法人を譲渡することで得た資金を、引退後の生活資金や新たな事業展開のために活用することが可能です。
デメリット
・譲渡先と譲受先の交渉が必要 診療所(医療法人)の価値を適切に評価し、適正な価格で譲渡するためには、専門的な知識を持つ仲介会社のサポートが必要になります。
・仲介会社の選定が重要 信頼できるM&A仲介会社を選ばないと、不利な条件での売却となる可能性があります。売却条件や契約内容を慎重に確認することが求められます。
2. 事業承継を行うことのメリット
事業承継には、譲渡者と譲受者の双方にメリットがあります。
譲渡者のメリット
①診療所の存続が可能
廃業することなく、事業を継続することができます。
②経済的メリット
診療所(医療法人)の出資持分を譲渡することで、資金を得ることができます。
③従業員・患者の継続的なサービス提供
患者や従業員にとって、安定した診療体制を維持できます。
譲受者のメリット
①開業の負担が軽減
ゼロからの開業に比べて、既存の患者や医療機器を引き継ぐことで負担が軽減されます。
②信用力のある診療所を継承
既に地域で認知されている診療所を引き継ぐことで、経営の安定性が向上します。
③診療報酬の継続的な確保
開業時から安定した収益を得ることが可能です。
3. 仲介会社を選ぶポイント
①医療業界の知識と実績
診療所の事業承継は、一般的なM&Aとは異なり、医療業界特有の規制や手続きが必要です。そのため、医療業界に精通した仲介会社を選ぶことが重要です。過去の実績や成功事例を確認し、経験豊富な会社を選びましょう。
②成約実績と成功事例の豊富さ
成約実績が多い仲介会社は、それだけ多くのケースに対応してきた証拠です。特に、売却・買収の双方の事例が豊富な会社を選ぶと、バランスの取れたサポートが受けられます。
③出資持分の譲渡者、譲受者双方のネットワークの広さ
事業承継を成功させるためには、適切な譲受者を見つけることが重要です。広範なネットワークを持つ仲介会社は、より多くの選択肢を提供できるため、売却の成功確率が高まります。
④交渉力と調整能力
価格交渉や条件調整は、事業承継において非常に重要です。仲介会社の交渉力や調整能力が高ければ、高い満足度の取引が可能となります。過去の成功事例やクライアントの評判をチェックすると良いでしょう。
⑤透明性のある料金体系
仲介手数料や成功報酬の料金体系が不明瞭な会社は避けましょう。事前にしっかりと説明を受け、追加費用が発生しないか確認することが大切です。
⑥秘密保持の徹底
診療所の売却は、従業員や患者に知られると経営に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、秘密保持を徹底する仲介会社を選びましょう。秘密保持契約(NDA)の有無を確認することも重要です。
⑦アフターフォローの充実度
事業承継は、売却が成立したら終わりではありません。売却後の統合プロセス(PMI)や、経営引き継ぎの支援が充実している仲介会社を選ぶことで、スムーズな移行が可能になります。
まとめ
診療所(医療法人)の事業承継は、慎重な準備と適切な仲介会社の選定が成功の鍵となります。
メディカルゲートは、医療業界の知識、実績、ネットワーク、交渉力、料金体系の透明性、秘密保持、アフターフォローなど、さまざまな観点からお客様にとって最適な解決策をご提案します。ぜひメディカルゲートへお気軽にお問い合わせください。