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医療法人格を取得(出資持分譲受)クリニックを運営するメリットとは?

近年、クリニックの開業や運営を考える医師や企業投資家の間で「医療法人格を取得」の選択肢が注目されています。医療法人を新たに設立するのではなく、既存の法人格を取得することで、スムーズなクリニック運営が可能になるケースが多いためです。今回は、医療法人格を取得してクリニックを運営するメリットについて解説します。


1. 設立手続きの手間と時間を省ける

医療法人をゼロから設立する場合、以下のような手続きが必要になります。

  • 都道府県への設立認可申請(審査に数ヶ月)
  • 定款の作成と認証
  • 登記手続き
  • 医療機関開設届の提出

これらの手続きには最低でも6ヶ月以上かかることが多く、さらに都道府県によっては申請時期が決まっているため、タイミングによっては1年以上待たなければならないこともあります。一方で、既存の医療法人を買い取る場合は、法人自体はすでに設立されているため、手続きを大幅に省略でき、すぐに事業を開始することが可能です。


2. 節税メリットを活用できる

個人開業のクリニックでは所得税の最高税率が**45%になることもありますが、医療法人を活用することで法人税の約23%**に抑えることが可能です。また、役員報酬の設定や経費計上の幅が広がり、以下のような節税対策が可能になります。

  • 役員報酬を分散し、所得税を抑える
  • 退職金制度を活用して、将来の資金確保と税負担軽減を図る
  • 経費を適切に計上し、法人税の負担を抑える

医療法人を活用することで、クリニックの収益を最大限に活かすことができるのです。


3. 社会保険適用で職員の福利厚生を充実

個人事業のクリニックでは、医師(院長)が国民健康保険に加入する必要があり、保険料負担が重くなるケースが多いです。しかし、医療法人の場合、法人の役員や職員は社会保険(健康保険・厚生年金)に加入できるため、院長やスタッフにとってのメリットが大きくなります。

  • 厚生年金を利用できるため、将来の年金額が増える
  • 健康保険の負担割合が個人事業よりも軽くなる
  • 職員の福利厚生が充実し、離職率の低下につながる

医療法人化することで、働きやすい環境を整え、優秀なスタッフの確保にも役立ちます。


4. 事業承継やM&Aがスムーズ

個人事業のクリニックでは、院長が引退する際に廃業の選択肢しかないことも多いですが、医療法人の場合は事業承継やM&Aがしやすくなります

  • 子どもや後輩医師に事業を引き継ぎやすい(医療法人の理事長を交代するだけ)
  • 売却する際も法人ごと譲渡でき、資産や契約関係をそのまま引き継げる
  • 金融機関からの信用力が高く、運転資金の調達がしやすい

特に、高齢の医師がクリニックを続けるか悩んでいる場合、M&Aを見据えて医療法人化しておくことでスムーズな事業譲渡が可能になります。


5. 許認可や契約の継続ができる

個人開業の場合、医師が交代すると新たに開設届を提出しなければならず、保険診療の指定や施設基準の審査も再度行う必要があります。しかし、医療法人の場合、法人名義で保険診療の指定を受けているため、理事長が交代しても許認可を引き継げるのです。

これは、特に在宅医療や介護関連の施設を運営する場合、大きなメリットとなります。行政の手続きを簡略化し、事業の継続性を高めることができます。


まとめ:医療法人格を取得することで得られるメリット

医療法人格を取得してクリニックを運営するメリットは、以下の5つにまとめられます。

  1. 設立手続きの手間と時間を省ける(すぐに運営可能)
  2. 節税対策が可能(所得税より法人税の方が低い)
  3. 社会保険の適用で福利厚生が充実(厚生年金・健康保険)
  4. 事業承継やM&Aがスムーズ(廃業リスクを低減)
  5. 許認可や契約を引き継げる(行政手続きを簡略化)

もちろん、医療法人格の取得には法人の財務状況や負債の有無を慎重に確認する必要があります。しかし、適切に選べば、大きなメリットを享受できる手段の一つと言えるでしょう。クリニックの開業・運営を考えている方は、医療法人格の取得もぜひ検討してみてはいかがでしょうか?