個人クリニックと医療法人の違い
どちらにもメリット・デメリットがあり、クリニックの経営状況や将来的な展望によって最適な選択は異なります。
以下では、それぞれの特徴を詳しく比較検討するためのポイントを説明します。
1. 税制
- 個人クリニック
- 所得税: 累進課税制のため、所得が高くなるほど税率が高くなります。
- 最大45%まで課税されるため、高額所得者にとっては大きな負担となります。
- 青色申告をすることで、一定の経費を控除できますが、節税効果は限定的です。
- 医療法人
- 法人税: 23.2%(年800万円超の場合)で、所得税よりも低くなります。
- ただし、診療報酬の一部が課税対象となるため、必ずしも個人クリニックよりも税負担が軽くなるわけではありません。
- 法人独自の節税対策が可能です。減耗償却や役員報酬の損金算入など、個人クリニックでは認められない節税対策を講じることができます。
2. 事業拡大
- 個人クリニック
- 分院開設や介護事業への進出など、事業を拡大することが困難です。
- 法律上認められていない事業を行うことはできません。
- 医療法人
- 分院開設や介護事業への進出など、事業を拡大することが可能になります。
- 法人であれば、医療法で定められた範囲であれば、自由に事業を展開することができます。
- ただし、事業拡大には資金や人材が必要であり、必ずしも成功するとは限りません。
3. 経営リスク
- 個人クリニック
- 医師個人に経営責任が負われます。
- 医師に何か問題があった場合、クリニックが存続できなくなる可能性があります。
- 従業員の給与や福利厚生も、個人の責任で負担する必要があります。
- 医療法人
- 法人に経営責任が負われます。
- 医師個人の問題にクリニックが巻き込まれることは原則ありません。
- 従業員の給与や福利厚生は、法人の責任で負担する必要があります。
- 役員報酬は、ある程度の範囲内であれば損金算入することができます。
4. 社会保険
- 個人クリニック
- 5人未満の従業員の場合は、社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務付けられていません。
- 加入したい場合は、任意で加入することができます。
- 医療法人
- すべての従業員を社会保険に加入させる必要があります。
- 法人であれば、厚生年金の加入によって、退職金制度などを整備することができます。
5. その他
- 医療法人
- 医療事故が発生した場合、個人クリニックよりも賠償責任が大きくなる可能性があります。
- 医療法人を設立するには、一定の要件を満たす必要があります。
- 医療法人には、定期的な監査が入ります。
上記以外にも、クリニックの規模や立地、経営陣の考え方など、様々な要素を考慮する必要があります。
医療法人化を検討する際には、税理士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
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